「最期まで一人で暮らしたかったおじいちゃん」⑥

月が変わろうとして月末に入ると、暑さが急に引けて空が高くなるのと同じように、身体の痛みも弱まってきました。
ご本人もうとうと、いよいよに休まれているのか、
あんなにたくさん押していたPCAのレスキューのボタンが全く、動かなくなりました。
月が明けた日には声をかけてもほとんどうなづくだけになり、
けれども帰り際に「ありがとう」とおっしゃってくださいます。

関わられた看護師さん方も皆さん、ああこれで良かったんだな、と確かめ合えた瞬間でした。

次の日の9月2日の朝に、この方は自宅でひとりで永眠されました。
ご家族が全く登場しない方で、スタッフさん方は時間毎の関わりでしたが、
週末や遅めの時間帯にも入って下さり、コミュニケーションは「ありがとう」「また来るね」だけ。
けれども決してひとりぼっちだとは感じない職員さん方の関わり方でした。