「桜月(サクラムーン)のおばあちゃん」⑤

そのつらさはみんな分かっている。だからこそこれからも続けていく。
自分ひとりで夜中に患者さんにかけた言葉の声も、
桜の花に囲まれた家も、患者さんの笑顔も、その記憶さえも、
いつかは消えてなくなってしまうのだけれども、
そういう徳を積み重ねてきた人たちが今までにたくさんいる。

そうして大切なものを繋いでいる自分にふと気付いたときに、
目の前にいらっしゃる患者さんの昔の人生や、生きた思い出を想像できるようになって、
優しい感性を持つ医療者になれるのだと思います。

櫻月(サクラムーン)